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初代「夢幻の心臓」の紹介

はじめに

初代「夢幻の心臓」は日本の国産RPGの歴史を語るうえで重要なゲームのひとつです。

このページでは、以前書いた「 ドラクエ以前の国内パソコンゲーム 」 の補足として、初代「夢幻の心臓」の詳細をかなりくわしく紹介しています。

ゲームの歴史を語るときや、実際にプレイをするときなどに、ぜひ参考にしていただければと思います。

なお、このページの情報はすべてPC88版をもとに記述しています。PC98版などの他機種では機能が変更されている可能性があります。また、一部でゲームのネタバレもしています。ご注意ください。

続編の「夢幻の心臓II」については、下記にシナリオをドラクエと比較した文章を書いています。かなりの長文ですが、興味があれば読んでみてください。


目次

このページを作った経緯

初代「夢幻の心臓」について、自分は発売からかなり時間が経過したあと(確か高校生くらいで「ソーサリアン」なども出ていた時期)に1度プレイしています。ですが「夢幻の心臓II」などの遊びやすいRPGを体験した後だったことや、速度の遅いPC88版だったことなどから、当時は最初の段階で挫折してしまっていました。

もちろん、上述のページを作るときにはある程度ゲームを遊びなおしてますし、内容はネットなども使ってひととおり調査しています。ですが、クリアまでは遊んでいなくて、システムの内部についても詳細までは理解できていない面があると思っていました。

幸いなことに、初代「夢幻の心臓」のPC88版については、PCマガジン1988年8月号~10月号にプログラムリストが掲載されています。そのため、図書館などで現在でもプログラムを細部まで確認できます。そこで、今回、ゲームをクリアするとともに、あらためてかなり細かなところまでシステムの内部もふくめて詳細を調べなおしてみました。

そうしたら、PC88版の速度の問題をのぞけば、この時代のRPGとしては非常に内容が豊富で完成度も高く、序盤をのりこえればそれ以降はかなり遊びやすいゲームでもあることがわかりました。そのことを記録に残したいと思い、この文章を書くことにしました。

国産パソコンRPG黎明期の秀作、初代「夢幻の心臓」の魅力について、ぜひ多くの人たちに知っていただければと思います。


ゲームの概要

初代「夢幻の心臓」は、1984年3月にクリスタルソフトから発売されたロールプレイングゲームです。戦いに敗れて死ぬまぎわに神々への呪いの言葉を発したために、天国でも地獄でもない「夢幻界」へと落とされた主人公が、不死の秘密をにぎる秘宝「夢幻の心臓」を手に入れるために冒険をするというストーリーです。

夢幻界には、同じような立場の人間や、ドワーフやコビトなどの亜人種、ペガサスやグリフォンなどの幻想世界の動物や、大サソリ、ゾンビ、悪魔、竜、魔王、などの多種多様なモンスターが生息しています。このいびつで危険な夢幻界を生きぬき、30000日以内に夢幻の心臓を手に入れて現世によみがえることがゲームの目的です。

地上は2D形式で表現され、そこには街や廃墟やいくつかのイベントなどが点在しています。街はメニュー形式で表現されていて、武器や防具などの購入、道具の売買、ステータスの上昇、攻略のヒントや行動の指針に関する情報の入手、などがおこなえます。特殊なアイテムを入手できたりダンジョンに入れたりするイベントも発生します。

廃墟からは塔や洞窟に入ることができ、その内部は3D形式で表現されます。それぞれのダンジョンには重要なイベントが必ずひとつ用意されています。また、各ダンジョンはそれほど広くない探索に適したサイズが採用されていて、紙とペンでのマッピングを楽しむのにちょうどいいシンプルな構造になっています。

プレイヤーは、まずはじめに、この殺伐とした夢幻界で生き残るための力を身につける必要があります

夢幻界の住人の中には、友好的に話しかけても無条件に襲い掛かってくる相手もいます。 生き残るためには農民や木こりや商人などを見つけては倒して金貨をうばうという、悪の行為に身を染める必要があります。また、最初は怪我をしても宿に泊まる余裕はないので、街の上で野宿をして傷をいやすことになるでしょう。

そうして、金の力によってある程度まで自身を成長させると、世界を自由に歩けるようになります。そうしたら、現世へと生き返るために、夢幻界の様々な場所をおとずれ、探索をしたり謎を解いたりしながら「夢幻の心臓」を見つけ出す冒険の旅がはじまります。

ダークな世界観の中で、自身が生き残るため、そして生き返るために冒険をする、初代「夢幻の心臓」はそんな雰囲気をもったゲームなのです。

以下では、この「夢幻の心臓」の魅力的な要素の数々をかなり深く掘り下げて紹介していきたいと思います。


魅力的なグラフィック

夢幻の心臓の大きな魅力のひとつはグラフィックの表現でしょう。敵に遭遇したときには、とても大きなサイズで迫力のグラフィックが表示されます。

対応機種のパソコンであるPC-8801の画面の解像度は640x200です。それに対して、モンスターなどの画像はおよそ256x128。ピクセル数で換算すると、画面のほぼ4分の1を占める巨大なサイズで画像が表示されます((640x200)÷(256x128)≒3.9)。

もちろん、当時でもアドベンチャーゲームには画面の9割以上の大きさで画像が表示されるものがありましたし、RPGでも「ダンジョン」(光栄)などでは巨大なモンスターの絵が表示されていました。初代「夢幻の心臓」は、それらに負けずとも劣らない迫力の画像を表示していたわけですね。

また、イベントで画像が表示されることがあるのも特徴のひとつです。例えば、街に入ると、施設のメニューとともに「街の絵」が表示されます。そこから店などの施設へ移動すると、敵の画像の使いまわしではあるものの、その施設に応じた商人や衛兵などの「登場人物の画像」が表示されます。 廃墟に入ったときには、その場所で見つけた「洞窟」などの画像が(使いまわしはされているものの)表示され、冒険を魅力的に演出していました。その他にも数はすくないですが、イベント専用のグラフィックが存在しています。

以下に洞窟の入口のシーンの画面を引用します。画面のおよそ4分の1のサイズを使って洞窟の入口の画像が表示されていることが確認できます。

夢幻の心臓で採用されていたイベント用グラフィック

ちなみに、ゲーム内には全部で59枚(クリスタルソフトのロゴを入れると60枚・ただしオープニングとエンディングの画像は除く)の画像が用意されています。そのうち、敵の画像は53枚ありますが、敵の種類も53種類います。 つまり、すべての敵に、使いまわしのない大きなサイズの魅力的なイラストが割り当てられているのです。そして、残りの6枚がイベントのためだけに用意された専用の画像となっています。

初代「夢幻の心臓」は、RPGのイベントで大きなグラフィックを使って状況を表現する「ビジュアルシーン的な演出」を採用した先駆的なゲームのひとつだったと言えるかもしれません。

※なお、いわゆるキャラクタグラフィックの手法(文字を組み合わせて絵を表現する手法)であれば、例えば「パノラマ島」(日本ファルコム,1983.12)などでも、店員の絵などが大きく表示されていました。


操作方法

「夢幻の心臓」の地上は2次元マップで表現されていて、プレイヤーの位置は8方向へと移動できます。洞窟などの迷宮は3次元で表示され、回転(左右90度または180度の回転)と前進での移動(またはドアを開けての前進)ができます。これらのフィールド上でのプレイヤーの位置の移動はテンキーを使っておこないます。

一方、戦闘時などのコマンドはメニューから選択する方式になっています。項目はキーボードショートカットで選択できるだけでなく、矢印キーでカーソルを上下左右へと動かしてスペースキーで選択する方式も使えるようになっていました。

基本的な操作方法を下図にまとめてみました。クリアをするためには、この基本操作の他に、ゲーム起動時の名前の入力、数値の入力、謎解きでの2種類のキーワードの入力、広場を出るためのリターンキーの入力、をする必要があります。例外的な入力は必要ですが、基本的な部分はかなり簡便な操作方法になっていることがわかると思います。

夢幻の心臓の操作方法

初期のウルティマやウィザードリィのような、キーボードの様々なキーを使う必要があった当時のRPGと比べて、夢幻の心臓では入力方法を簡単にするための工夫がなされていたわけですね。もちろん、海外でも同時期に「クエストロン」(Strategic Simulations, 1984)などでカーソル移動式のメニューが採用されていたようなので、これは初代「夢幻の心臓」だけの特徴というわけではありません。ですが「RPGを操作しやすいように改善していこう」という試みは1984年にはもう始まっていたと言えます。

ただし、初代「夢幻の心臓」では、「プレイヤーの位置の移動」はテンキーを使い、「メニューでのコマンドの選択」は矢印キーを使う、という二重の構造が採用されていました。最近のゲームでもたまに見られる「移動はアナログスティック」「メニューは十字パッドで選択」という形の操作体系に似ているとも言えます(例えば「ドラクエ11」のフリー移動バトルなど)。この操作の使い分けはけっこう面倒に感じる人も多いかと思います。

この操作方法の問題は、続編の「夢幻の心臓II」で改善されました。矢印キーでもテンキーでも、プレイヤーの位置の移動とコマンドの選択の両方ができるように操作体系が整理されたのです。

ちなみに、この他にも続編で改善された操作があります。 初代「夢幻の心臓」では、迷宮での「前進」に「8」のキーが割り当てられているのに対し、「扉をあけて進む」という操作には「前進」とは異なる「7」のキーが割り当てられています。通常は「8」で前進するのに、扉がある場合には「7」を押さなければならないという、少し面倒な操作方法になっていました。

「夢幻の心臓II」では迷宮の表現が3Dから2Dに変更されていますが、それと同時に「扉をあけて進む」という操作も廃止されました。単に扉の方向へと移動する操作をするだけで(他の特殊な操作をすることなしに)扉を通りぬけてその先へと移動することができるようになったのです。

初代「夢幻の心臓」を遊んでみると、「夢幻の心臓II」の「洗練された操作体系」へといたる過渡期の工夫と試行錯誤が感じられるだろうと思います。

※ちなみに「夢幻の心臓II」の操作体系については、ドラクエと比較した文章を下記のリンク先で公開しています。よかったら読んでみてください。


多彩なイベント

初代「夢幻の心臓」は、イベントが豊富な点も特徴になっています(当時にしては、という前提ではありますが)。

地上には様々な施設をもつ街が 5 つあります。その施設の中には、特定の街にしか存在しない特殊な施設がありました。例えば「魔術師の館」では呪文を覚えることができますし、「城」などでは修行ができたりします。その他にも、重要なアイテムを入手したり、特別な場所へ入ったりできる施設などがあります。

下の画面は「城塞都市マクーハン」だけでしか利用できない「城」でのイベントからの引用です。城では王へ「みつぎもの」をしたり、金貨を支払って「攻撃力」などのパラメータを上昇させたりすることができます。このような特別な施設を街ごとに割り当てることによって、各街の特徴が表現されていました。

街の施設がもつ特殊な機能の例

また、廃墟には「塔」や「洞窟」があり、それぞれには必ずひとつ重要なイベントが用意されていました。例えば、強敵を倒して「紋章」を手に入れたり、亡霊と交渉してクリアに必須なアイテムを入手したり、「魔女」から便利なアイテムを購入するなどです。 その他に、エレベーターを動かすイベントなどが発生することもあります。

ちなみに、迷宮でのイベントについては、選択を誤った場合(例えば重要な戦闘イベントで逃げる選択をしたり、交渉相手を攻撃してしまった場合など)に、イベント自体が消滅することがあります。その場合でも、かなり面倒ではありますが、一度迷宮の外に出て入りなおせばイベントが復活して再挑戦できるようになっています。

地上にはその他にもいくつかイベントが発生する場所があります。そこでは、例えば毒に対処できたり、魔力が少ないときなどに耐久力を犠牲にして魔力を増加できたりしました。

それから、ラストダンジョンに入るには、いくつかのイベントを経由した謎解きをする必要がありました。あらためて確認してみると、当時としてはかなり豊富なイベントが用意されたRPGのひとつだったことがわかると思います。


プレイヤーを導く仕組み

初代「夢幻の心臓」は、かなり豊富なヒントを出すほうのRPGでした。

このゲームでは、イベントをクリアする順番は(一部の例外をのぞき)基本的にはプレイヤーが自由に決められるのですが、指針が欲しいユーザ向けに情報を提供する様々な仕組みが導入されていました。

例えば、地上を探索すると見つかる砂漠の街で、魔術師に金貨100枚をわたして占いをしてもらうと、「宗教都市ラサニエルに行け」「ライオンの洞窟には獅子の紋章」など、その時点での所持品などの状況に応じた「行動の指針」や「謎解きのヒント」などが得られるようになっていました。

下図にその占いのシーンを引用しました。左が画面全体で、右上は見やすくするために結果の部分を拡大したものです。「光の紋章とルーンの紋章をもって光る大地に行け」という具体的な指示が出されていることがわかります。また、右下は別の状況での占いの結果です。所持しているアイテムなどの状況に応じて適切なアドバイスがなされていたことがわかると思います。

夢幻の心臓に採用されていた行動を導く仕組み

また、街にある「広場」でも、有料ではありますが、例えば「寺院にはたくさんの金を寄付しなければならないだろう」「北西に《ライオンの洞窟》がある」などのような、様々なヒントが得られるようになっています。

それだけではなく、地上で遭遇した相手との会話に成功したときに、近くのイベントの具体的な発生場所を教えてくれる仕組みまで導入されていました。例えば、ライオンの洞窟のそばで会話に成功すると、「西に6、南に9、はなれた所に「ライオンの洞窟」がある」のような正確な位置の情報が(一定の確率でではありますが)表示される仕組みになっています。

ただし、最初に地上を探索して街を探しだしたり、街のメニューで広場などに行って情報収集を試してみたり、迷宮をくまなく探索してみたりする作業などは自発的におこなう必要があります。もちろん、この程度のことすら思いつかないプレイヤーというのは想像しにくいので、ほとんどのプレイヤーはいろいろ試行錯誤しただろうとは思いますが。

ちなみに、付属の説明書にも例えば「いろんな所で、いろんな事を行ってください。」(リファレンスマニュアル p.5)のように、最初に様々なことを試して探索をすべきだということは明記されています。

また、提示されるヒントの中には自分で解法を考えることが必要なものもいくつかあります。例えば魔術師から「竜の牙を持って王に会いに行け」というヒントがもらえるのですが、その「竜の牙」の入手方法までは教えてはくれません。竜が住む洞窟が存在していて、敵の中に何種類か「竜」に相当する敵もいるので、それを倒せば手に入るかもしれないということは推測できます。実際にそれで正解なのですが、登場する竜はどれもけっこう強敵でアイテムも確率での入手なので、倒すのをあきらめて竜から逃げ続けてしまうと「竜の牙」は手に入りません。一部では推測をもとにして自分なりに思ったことを試し続けてみることも必要でした。

それから、占いで提示される「目標」は、基本的にはそれを達成するまで変化しません。現在示されている目標の達成方法がわからないときなどは、魔術師からは新たなヒントをもらえないので、別の情報にもとづく探索をすることも必要でした。むしろ「基本的には自分で探索をすすめて、他にやることが思いつかなくなったら魔術師の館をたよってみる」という利用方法が一般的かと思います。

初代「夢幻の心臓」は、成長のさせかたや戦闘を有利に進める方法などについては試行錯誤が必要なゲームでした。しかし、イベントについては、(自分で探索したり考えたり試したりすることもそれなりに必要ではありますが)、行動の指針や謎解きのヒントなどをかなり豊富に提示していたゲームだったのです。


マップの構造

ねじれた地上マップ

夢幻界の地上マップは、とても不可思議な構造をしています。

スタート地点のすぐそばにある街は「自由都市カーライル」。そこから西の方向へと「道にそって」進んでいくと、ほどなくして「城塞都市マクーハン」にたどりつきます。 そして、そこから北西へと「道にそって」すすんでいくと、なぜか再び「自由都市カーライル」にもどります。

意外とせまい世界でループしているのかなと思って、カーライルから北東へと「道にそって」進んでいくと、えんえんと見たことがない世界が次々にあらわれ、そのあまりの広さに驚愕することになります。

マッピングをして確かめようとすると、見たことがあるような風景が何度も繰り返し出てきたり、でも、そうではない世界が広がったりもしているという、まさに「ゆめ」か「まぼろし」かのような、謎多き世界であることに気づかされます。

このような不可思議な夢幻界のマップは、実際にはどのようにして作られているのでしょうか?マッピングをした結果をできるだけ正方形になるように、かつ、重複がない形で切り出してみた結果を下図に引用します。夢幻界のマップは、実はこの地図のように、細長い世界の左上と右下の方向( 上方向を北と考えたときの北西と南東の方向)がつながった、ななめにねじれてループをする構造をしているのです。

夢幻の心臓のねじれたマップの構造

例えば上の地図の右上の領域から A と書かれている「左」の方向(東西南北で表現すると西の方向)へと進むと、1段右下の A の場所へとループし、そのまま「左(西)」へ移動しつづけると、B、C、の順にループをして、もとの領域へともどる構造になっています。ですが、ある領域から「左上(北西)」の方向へ移動しつづけると、その領域の「右下(南東)」から出現するので、同じ領域をループしつづけることになります。

また、C と D の位置もねじれて連結されているので、例えば右上の領域から「左下(南西)」の方向へと移動しつづけると、一度マップ全体を通って C の位置でループし、もう一度全体を通って D の位置でループをしないと元の位置へと戻ることはできません。

結果として、左上や右下の方向(北西や南東の方向)へと進み続けると同じマップが短い間隔で繰り返されることになるのに対し、右上や左下、あるいは上下左右の一方の方向(北東や南西、または東西南北の一方の方向)へと進み続けると新しい地域が次々に現れることになります。

つまり、ななめの方向へと移動し続けると、その方向によって、短い距離でループしたり、長い距離を移動しないとループしなかったりする構造になっています。そして、地上の多くの「道」は、ななめの方向へとのびる形で配置されています。「道にそって」移動をすると、この2つの異なる体験ができるように仕組まれているとも考えられるわけですね。

ちなみに、内部の構造を確認したところ、25x25のサイズのマップが20枚用意されていて、それらを「各マップの東西南北の移動先を記述した表」で連結する形になっていました。このマップの構造は、実装上の何らかの都合でこうなったわけではなく、「夢幻界」のうつろな世界観にあわせて「意図的に作り上げられたもの」だったと考えられます。

夢幻の心臓では、あたかも「ゆめ」か「まぼろし」かと思わせるような、現在のRPGでもほとんど見ないような稀有な工夫がなされた地上マップが採用されていたのです。

攻略用に拡大した「夢幻の心臓・夢幻界の地上マップ」も用意してみました。

統一的な迷宮マップ

夢幻の心臓の迷宮は3Dで表現されています。基本的には10x10のサイズの4階層のフロアで構成されています。広すぎずせますぎず、自分でマップを作成して探索するのにちょうどいいサイズになっています。ただし、例外として、ラストダンジョンだけは20x20の巨大で歯ごたえのある迷宮になっています。

昔のゲームの中には、階段などの上下関係が不適切にゆがんでいるものや、各フロアがかなり不定形になっているものもありましたが、初代「夢幻の心臓」は、そのようなことはありませんでした。一部に「長いはしご」があったり入れない領域があったりはするものの、同じサイズのマップが縦にかさなっていて、階段や落とし穴などもきちんと理にかなう構造になっていました。

また、ゲーム中では、道具の「水晶玉」を使ったり、「全てのものよ我がたなごころへ」の呪文をとなえたりすることで、現在、自分がいるフロアのマップと自分の位置を確認できます。ただし、壁やドアの配置は表示されますが、ハシゴやイベントなどの位置は表示されません。これらは、マップ上のその場所へと実際に行ってみないとわからない仕組みになっていました。

下図に迷宮のシーンの一部を引用しました。左の画面からは、迷宮が3D表現になっていたことや、かなり遠くの距離まで表示されるものだったことが確認できます。右の画像はマップを表示する機能を使ったときの画面からの引用で、白い線が壁、赤い線が扉、黒い四角が自分のいる位置を意味します。マップの右側の中央付近の赤い部分を見ると、上が白、下が赤の線になっていますが、これは一方通行の扉を意味します。上下のフロアへ移動するためのハシゴやイベントの位置などは表示されませんが、迷宮の構造と自分の位置は確認できたわけですね。

迷宮の3次元表現とマップ表示の機能

このような機能が存在するので、新しいフロアに到着したら、まずはマップを表示させて方眼紙などにそれを書き写して、歩いた位置に印をつけながら探査をしていく、というのが効率的な探索の戦略になるでしょう。洞窟や塔には、少なくとも必ずひとつ大きなイベントが存在しているので、その目的に向かって探索していくことになります。

「夢幻の心臓」の迷宮は、このような感じで少しずつマップを踏破していく楽しみ方ができるものになっているのです。この種の遊びが好きな人にとっては、とても面白く感じる要素だと言えるでしょう。

ちなみに、プログラムの内部を確認してみたところ、それぞれの迷宮ごとに20x20のサイズのマップをひとつ使用でき、そこに16個のイベントを設定できる仕組みになっていました。階段や出口などもこのイベントのひとつとして実装されています。そして、このマップを4分割して各フロアに割り当てています。つまり、作ろうと思えばゆがんだ階段なども作れる仕組みになっているのですが、そういうことはせずに、意図的に整合性のとれるシンプルなマップを構成していたわけですね。

また、このような仕組みになっているので、通常の4倍の広さのあるラストダンジョンの巨大な迷宮も全く同じ仕組みで実装できています。プログラミングの発想としてもかなり秀逸なアイデアが採用されていたように思います。


迷宮内の視界の仕組みについて

上で引用した迷宮の画像では、かなり遠くの距離まで視野が確保されていますが、この視界の距離は使用する「明かり」の種類によって異なっていて、しかも少しずつ減衰する仕組みになっていました。

当時のRPGには、有効・無効を切り替えるタイプ(有効期間中は「明かり用の視界」が確保されていて、一定の期間が過ぎるとそれが一気に「無効の状態」になって失われるタイプ)を採用したものもありました。それに対して、初代「夢幻の心臓」では少しずつ暗くなっていく仕組みが採用されていたわけですね。

下に明かりの種類と見える距離の関係を図示します。

迷宮内での明かりで見える距離と時間

一番遠くまで見ることができるのは「月の光よ賢者の杖となれ」の魔法を使ったときで、自分がいる場所を 1 歩目として数えたとして 5 歩先の壁の状態までを見ることができます。

次に視界が広いのは 4 歩先まで見えるアイテムの「ランタン」です。ただし、この明かりは「油」をひとつ消費して使います。使用すると消滅する消耗品アイテムの「たいまつ(松明)」は 3 歩先、「ロウソク」は 2 歩先(自分のいる位置を数えないと 1 歩先)までしか見ることができません。

これらの明かりで見える視界は、迷宮で探索を続けていると少しずつせまくなっていき、最後には明かりが消えて暗闇の状態になります。例えば魔法の明かりをつけると、最初は 5 歩先まで見えますが、一定期間活動をしていると 4 歩先までしか見えなくなり、次第に 3 歩先まで、 2 歩先まで、と、見える範囲がせまくなっていきます。そして、自分の目の前の壁しか見えなくなり、最後には真っ暗になって何も見えなくなります。この視界は、再度、明かりを使うことで、もとの距離にもどすことができます。

具体的には、何かひとつの行動をすると、ターンがひとつずつ増えていき、『 80 ターンが経過すると視界の距離が 1 段階減る』という仕組みになっていました。

これは言い換えれば、「視界の最初の距離」に「 80 」を「かけ算」すると、その明かりが完全に消えるまでの行動回数を算出できるということです。例えば、「ロウソク」の明かりは 160 回の行動で完全に消えるのに対し、魔法の明かりが完全に消えるまでには 400 回の行動ができます。ただし 80 回行動をするごとに見える範囲はどんどんせまくなっていきます。

なお、その場で 1 日ぶんの時間を経過させる「休息」についても、 1 回の「休息」で 1 ターンが経過する仕組みになっています。ですから、「休息」を繰り返しても視界は急激にはせまくならず、他の行動と同様に 80 回の「休息」ごとに 1 段階せまくなります。 迷宮内の時間は、「前進」などの行動で 1 時間、「休息」では 24 時間経過するので、これらを同じ扱いにするのはちょっと不自然な気もしますが、ここは遊びやすさを優先したと考えておくことにしましょう。

ちなみに、続編の「夢幻の心臓II」では迷宮の表現が 3D から 2D へと変更されていますが、「明かり」によって広がった視界が少しずつせまくなる仕組みは、2D の迷宮マップでも継続して採用されていました。

ただし、3 種類あった道具の種類は「たいまつ」のみに集約され、「魔法」と「たいまつ」とで「最初に見える視界の距離」の差はなくなりました。また、一部の例外をのぞき、明かりをつけていなくても完全な暗闇にはならずに、ある程度の視界が確保されるようになりました。

明かりの仕組みについても、続編では「初代の特徴を残しながら遊びやすさやわかりやすさを重視した改良が加えられた」と言えるだろうと思います。


成長システム

「夢幻の心臓」の成長システムは、例えば「ザ・ブラックオニキス」や「ハイドライド」や「夢幻の心臓II」などのような、現在でもよく見る一般的なシステムとは異なっています。

もっとも大きな違いは「レベルアップ」の概念がないことです。ただし、類似した要素が全くなかったわけではありません。夢幻の心臓のシステムでは『「体力」の増強』がレベルアップに近い概念としてあげられると思います。

プレイヤーの「体力」は、「耐久力の最大値」と「攻撃がヒットしたときに敵に与えるダメージの量」に影響を与える能力値です。「耐久力」は、いわゆる「ヒットポイント(HP)」に相当する値といえます。「敵に与えるダメージの量」については「プレイヤーの物理攻撃」の項で詳しく解説していますが、「体力」の平方根の値を基準にして決定されます。

ですから「体力」の増加によって、「ヒットポイントの最大値」と「敵に与えるダメージ」が増えます。 つまり、「レベルアップ」がないかわりに、「体力」を増加させることで、プレイヤーの基礎的な強さが成長するシステムになっています。

「体力」を増加させる方法は 2 種類あります。

ひとつめは、街の「病院」で金貨を100枚支払って体力を増強する方法です。1回の「体力増強」によって、体力をもとの値の 1.1 倍に増やすことができます。「体力」の初期値は 100 なので、1回増強すると 110 、2回増強すると 121 、3回増強すると 133 という形で増えていきます。ただし、この方法で増やせる「体力」は 800 までです。

ふたつめは、ある特殊なアイテムを入手後に、「経験値」によって「体力」を増やす方法です。この方法はメニューの「チェンジ」を使って実行でき、この方法によって「体力」を最大値の 1000 まで増やすことができます。

体力以外の基礎的な能力値には、「知性」「器用さ」「攻撃力」「回避力」の4つがあります。これらは金貨を支払って街で修行をすることで 80 まで増やせます。そして、体力と同様に、あるアイテムを入手後に「経験値」を使うことで最大値の 100 まで増やすことができます。

つまり、「夢幻の心臓」は、前半では街で金貨を払うことによって成長し、後半ではアイテムを使って経験値によって成長する、という独特なシステムが採用されているのです。

なお、「魔力」(いわゆるマジックポイント、MP)については、後述の「魔法のシステム」のところで解説しているので、ここでは説明を割愛します。


遭遇システム

初代「夢幻の心臓」ではランダムエンカウントが採用されています。場所の種類ごとに各種モンスター等の出現率が設定されていて、「道」の上では人型の相手と頻繁に出会いますが、「砂漠」などでは何かと出会うこと自体が少ないかわりに強力なモンスターと遭遇するなど、場所の種類によって敵などとの出会い方に特色がありました。

イベント戦闘の場合を除き、エンカウントがおきても、いきなり戦闘は開始されません。まずは遭遇時用のメニューが表示され、「戦う」「話す(3種類)」「逃げる」「隠れる」の中からひとつの行動を選択する仕組みになっています。

「戦う」を選択すると、戦闘用のメニューが開きます。それ以外の項目を選択した場合にはその行為が成功するかどうかの判定がおこなわれ、成功すると戦闘を回避できます。

「話す」の項目は3種類(「対等に話す」「友好的に話す」「敵意をもって話す」)あり、この選択の結果と、敵の種類、それから両者の「知性」の値によって、会話の成功率が決ります。会話が成立する可能性があるのは人型か幻想世界の生物(ペガサスやグリフォンなど)で、それ以外のモンスターと会話をしようとすると、戦闘へと突入してしまいます。

ちなみに、人間には「対等に」、亜人などには「友好的に」話すと成功しやすいようです。ただし悪魔と魔王には「敵意をもって」話す必要があります。人型でもゴーゴンやミノタウロスやへび女などの凶悪な生物とは会話が成立しません。

地上で会話に成功すると、紋章に関する情報や、近くでイベントが発生する場所への相対的な行き方の情報が得られます。迷宮ではその迷宮に関連する情報が得られるようになっています。プレイヤーの「知性」の値を上げたうえで、遭遇時に相手の特性を見きわめて会話を選択することで、戦闘を回避したり、謎解きの情報を得たりできるようになっているわけですね。

「逃げる」は、経験値を 2 減少させて、戦闘から逃げることを試みます。成功率はプレイヤーと敵の「器用さ」に応じて決まる仕組みになっています。成功すれば戦闘をせずに済ますことができます。

これは、経験値がゼロ以下のときでも選択できますが、経験値はマイナスの値になります(例えば経験値が 0 のときに「逃げる」を選択すると経験値は -2 になる)。あまりにも減らしすぎたら後々大変になるかもしれませんが、序盤をのりこえれば道で遭遇する敵などは簡単に倒せるようになって、経験値も容易にかせげるようになります。ですから、「器用さ」を成長させているのであれば、多少経験値がマイナスになってでも、危ないときには逃げることを考えたほうがいいでしょう。

ちなみに遭遇時ではなく戦闘開始後に「逃げる」の選択をした場合には経験値は消費されません。経験値を減らしたくなければ、遭遇時には会話を試したり「戦う」を選択したりして、戦闘開始後に逃げる選択をすることも可能です。

「隠れる」は、経験値を 10 減少させますが、戦闘を回避するチャンスを1回追加できます。「隠れる」を選択した場合には、まず成功するかどうかの判定がおこなわれます。失敗した場合には、「隠れる」が選択できない状態で、遭遇時のメニューでの選択をもう一度おこなえます。ですから「隠れる」を選択して失敗しても、まだ「逃げる」を選択するチャンスがもう1回のこっているのです。

隠れるのに成功したときには、先制攻撃をかけるかどうかを選択できます。ただ、ここでYesを選択すると通常の戦闘に突入するだけで、最初に「戦う」を選択したときと同じことになってしまいます。ここでNoを選択することによって戦闘をせずにやりすごすことができます。

下に遭遇時のメニューの項目と、「友好的に話す」と「隠れる」に成功した場合のメッセージの事例を引用しました。

遭遇時のメニューと「話す」「隠れる」の効果

左上は「友好的に話す」に成功したときの画面ですが、キコリが「不思議な井戸」の場所を教えてくれていることが確認できます。左下は「隠れる」に成功したときの画面です。経験値がマイナスの値(-38)になっていますが、隠れることに成功して、奇襲攻撃をかけるかどうか質問されています。ここで「no」を選択することで、戦闘を回避できるわけですね。

このような仕組みなので、強敵に出会ったり、ダメージを受けてピンチな状況で敵に遭遇した場合には、まず「隠れる」を選択し、失敗した場合には「逃げる」を選択することで、生き残る可能性を増やすことができるシステムになっているのです。


無料の回復システム

初代「夢幻の心臓」の特徴のひとつとして、フィールド上でHPを回復する仕組みが導入されている点があげられます。

基本的には、「毒」を受けていない状態で、「街」の上へ移動して「5」キーを押し続けると、日数は経過するものの無料で「耐久力(HPに相当する値)」を最大値まで回復できました。

この仕組みは、下記の基本システムの組み合わせで実現されています。

この3つの要素によって、「毒」の状態でなければ日数を消費して完全回復ができる便利なシステムが採用されていたのです。

「日数の消費」が「無料での回復」に対するペナルティになっているわけですが、このペナルティは実は挽回が可能です。日数が 3万日をすぎるとゲームオーバーになるのですが、死んだときに復活アイテムの「不死のネックレス」を持っていれば、日数がオーバーしても、このアイテムと引き換えに、追加で 1万日の猶予が与えられるのです。

ペナルティをうけながら無料回復をしているという印象をプレイヤーに与えつつ、実際には負の影響があまりない親切なシステムだと言えると思います。

キーを押し続けて完全回復するまでの「実際の時間」はけっこうかかります。ですが、金が豊富に手に入る後半になれば、その金を使って「宿屋」や「病院」を利用することで時間の短縮ができます。プレイヤーがある程度強くなっていれば、敵と遭遇することを承知したうえで、街までもどらずにその場で休息することも可能です。

ちなみに、このような回復のシステムは、形を変えながら他の様々なゲームでも採用されています。例えば「夢幻の心臓」の開発者が移籍した日本ファルコムのRPG「ダイナソア」や「ブランディッシュ」などでも、少し形は変えていますが、これと類似した回復システムが採用されていました。

また、このシステムでは「毒」が非常に危険な状態異常になっています。毒の状態は自然には回復せず、街の病院での除去には金貨20枚が必要です。後半になれば無料で毒を除去できる場所なども見つかりますが、特に耐久力の低い序盤は注意が必要です。「毒をもつ相手との戦闘はできるだけ避け、不測の事態を考慮して40枚程度の金貨は手元に残しておく」というのが、序盤の基本戦略になると思います。


戦闘システム

夢幻の心臓では、コマンド選択式の戦闘システムが採用されています。ですが、実際にプレイしてみると、例えば「ザ・ブラックオニキス」のような「毎ターン行動を選択してHPを削りあうタイプ」の戦闘とは少し印象が異なります。プレイ感としては「自動戦闘の途中で必要に応じてコマンドを入力するタイプ」に近い感じがしました。

戦闘メニューには「アタック」のボタンがありますが、特に序盤は「ターンごとに毎回このボタンを押して相手にダメージを与える」という感じにはなりません。どちらかというと「「アタック」のボタンを押し続けることによって自動的に戦闘がおこなわれ、自動戦闘中に攻撃がヒットするとダメージが発生する」という感じになると思います。そして、他の行動をしたいときには「アタック」のキーをはなして、別の項目を選択する、というプレイ感になっています。

また、プレイヤー側と敵側とで物理攻撃のダメージのシステムに違いがあるのも特徴のひとつです。これに気づくと、戦闘を続けるか逃げるかの選択が「面白い駆け引きの要素」になります。

今回、PCマガジン1988年8月号~10月号に掲載されていたPC88版のプログラムリストを読んで、戦闘システムの内部を解析してみました。その結果、確かに上記のような解釈ができるシステムになっていました。ここでは、詳細な「夢幻の心臓」の戦闘の仕組みを解説してみたいと思います。

ここからの説明に関連して、みっつの注意点があります。

  1. メインプログラムはBASIC言語で記述されています。プログラミング言語について自分はひととおり理解しているつもりですが、解釈のしかたを間違えている可能性もゼロではありません。詳細を確認したい方は実際に図書館などでPCマガジンの紙面を確認していただければと思います。
  2. 敵から受けるダメージの量についてですが、PCマガジンのプログラムリストから想定されるダメージの量よりも、実際のゲームのほうが多くのダメージを受けている印象があります。これについては最後に補足しますが、PCマガジン版とは別のバージョンが存在している可能性があります。具体的な相違点ですが、プレイヤーが受けるダメージの量として説明している「敵の耐久力の 20% 」という値は、もう少し大きい可能性もあると考えてください。
  3. 本文中にも記載していますが、「体力」と「耐久力」は表現が似ていて混乱する可能性があるので、後半の解説では、わかりやすさを重視して「耐久力」を「HP」と記述した部分があります。「HP」と書かれている部分は正確には「耐久力」のことだと考えてください。

上記の3点について理解をしていただいたうえで、以下を読んでもらえればと思います

プレイヤーの物理攻撃

物理的な攻撃に関わるパラメータは、耐久力、体力、攻撃力、回避力、の4つです。 物理攻撃が当たるかどうかは、攻撃する側の「攻撃力」と、攻撃される側の「回避力」によって決まります。

まず、プレイヤー側が攻撃をする場合について解説します。「プレイヤーの攻撃力」と「敵の回避力」に大きな差がなければ、プレイヤーの攻撃は、およそ20%の確率でヒットします。そして、この差が大きくなるにつれてヒット率は20%~90%の間で変動します。

具体的には、まず、補正前の命中率の基準値を『「プレイヤーの攻撃力」-「敵の回避力」』の引き算で求めます。そして、この基準値が 20 以下の場合は20、90以上の場合は90に補正します。この補正後の値をパーセントで換算したものが命中率になります。つまり、 0 ~ 100 までの間の乱数を発生させて、その値がこの命中率より小さければプレイヤーの攻撃が命中します。

例えば、回避力が 45 の敵に対し、プレイヤーの攻撃力が50だった場合には、補正前の基準値は 5 になります(50-45=5)。この値は20より小さいです。そのため、補正後の値は 20 になるので、20%の確率で攻撃がヒットします。

同じ敵に対して、例えば、プレイヤーの攻撃力が 80 だった場合には補正前の基準値は35になります(80-45=35)。この値は20より大きいので補正はかからずにヒット率は 35% になります。同様に、プレイヤーの攻撃力が 100 だった場合には 55% の確率でヒットすることになります。

ヒットしたときに敵へと与えるダメージはプレイヤーの「体力」によってのみ決まります。 具体的には『「プレイヤーの体力」の「平方根の値」に -5 ~ +5 の間の乱数を加算した値』になります。

※「平方根の値」とは「2回かけ算をするとその数値になる値」のことです。例えば 25 の「平方根の値」は 5 です。なぜなら、25 は、「 5 を 2 回掛け算した値」(25=5×5)だからです。同様に 64 の平方根の値は 8 (64=8×8)、100 の平方根の値は 10 (100=10×10)になります。

例えば、ゲーム開始直後の「体力」の値は100ですが、このときには、攻撃が当たると 5 ~ 15 程度のダメージが与えられます(100の平方根は10なので、これに-5~+5の乱数を加算した値になる)。病院で体力増強を10回繰り返すと体力は 260 程度になりますが、このときには1回のヒットで与えるダメージは 11 ~ 21 程度にまであがります(16x16=256なので16程度が基準になる)。「体力」が街で上げられる上限の 800 になると、 1 撃で 23 ~ 33 ダメージを与えられるようになります。

まとめると、プレイヤー側の攻撃のヒット率は「プレイヤーの攻撃力」と「敵の回避力」に応じて20%~90%の間で決まり、ヒットしたときには「体力」の平方根の値を基準にした一定程度のダメージを与えることになります。

敵の物理攻撃

次に敵側が攻撃する場合について解説します。

敵側の攻撃の命中率の計算のしかたはプレイヤー側とほぼ同じなのですが、下限の補正が20ではなく30になっています。具体的には基準値を『「敵の攻撃力」-「プレイヤーの回避力」』の引き算で計算し、これを30~90に補正したうえでパーセントに換算したものがヒット率になります。

つまり、強さに大きな差がない場合、プレイヤーからの攻撃が 20% でヒットするのに対し、敵からの攻撃は 30% の確率でヒットすることになります。プレイヤーよりも敵の命中率のほうが少しだけ高く設定されているわけですね。

面白いところは、ヒットしたときに敵からうけるダメージの計算方法で、プレイヤーの攻撃とは2つの点で異なっています。ひとつは攻撃力と回避力が考慮される点です。もうひとつ、これがとても特徴的なのですが、敵の「体力」ではなく「耐久力」の残量をベースにして計算される点が異なっています。ちなみに「耐久力」はいわゆるヒットポイント(HP)に相当する値で、他のRPGのHPと同様に、この値は戦闘中に敵がダメージをうけると減っていき、ゼロ以下にすることで敵を倒すことができます。

敵の攻撃がヒットしたときにプレイヤーが受けるダメージは、「敵の攻撃力」と「プレイヤーの回避力」に大きな差がない場合、『 その時点での「敵の耐久力」の「 20% の値」に -4 ~ +4 の乱数を加算した値 』になります。ただし、この値が 0 以下の場合には敵の攻撃はヒットせずにミスをしたものとして扱われます。

簡単に言うと、同程度の強さの敵から受ける1撃のおよそのダメージは「敵の残りのHPの20%」の値になるということです。

この 20% という値は「敵の攻撃力」と「プレイヤーの回避力」によって20%~90%の間で変動します。具体的には、まず補正前の基準値を『「敵の攻撃力」-「プレイヤーの回避力」』の引き算で計算し、これを20~90に補正した値が使われます。命中率とほぼ同じ考え方がダメージの割り合いの計算でも使われているわけですね。

※ 「耐久力」と「体力」は表記が似ているので、混乱を避けるために、ここからは「耐久力」のことを「HP」と記述して説明します。以下で「HP」と書かれている部分は正確には「耐久力」のことだと思ってください。

例えば、プレイヤーの回避力が 50 だったとして、敵の攻撃力が 45 なら、補正前の基準値(45-50)は -5 、補正後は 20 なので、敵の 1 撃があたったときに受けるダメージの基準は「敵のHPの 20% 」になります。同じプレイヤーに対して、もし敵の攻撃力が 80 だった場合には、補正前の基準値(80-50)が 30 なので補正はかからずに、「敵のHPの 30% 」を基準にしたダメージを受けることになります。敵の攻撃力が 90 なら「敵のHPの 40%」が受けるダメージの量ということですね。

ゲームの序盤に登場する「木こり」の攻撃力は、初期状態のプレイヤーの回避力よりも低いです。ですから「敵のHPの 20% 」を基準にして1撃のダメージ量が決まります。 「木こり」のHPの初期値が仮に 50 だった場合、戦闘開始直後は1撃で 6 ~ 14 程度のダメージを与えてくる計算になります( 50 の 20% は 10 なので)。ところが、こちらの攻撃が 1 回あたって 15 ダメージを与えた場合、敵のHPは 35 に減るので、それ以降はその敵から受けるダメージは 3~11 程度に落ちます(35の20%=7)。さらに攻撃が当たって敵のHPを 20 まで減らすと 攻撃があたっても 1 ~ 8 のダメージで済みます(20の20%=4)。

つまり、プレイヤーの攻撃がヒットすればするほど、その後で敵の攻撃がヒットしたときに受けるダメージは減っていくわけですね。

下に実際の戦闘画面を引用しました。これはプレイヤーがまだあまり成長していないゲームの序盤の事例です。戦闘開始直後の「剣士」はかなり大きなダメージを与えてくるはずですが、右側に拡大して引用したメッセージの赤字の部分を見ると、敵から「 2 ポイントのダメージ」しかうけていないことが確認できます。敵の耐久力(HP)を減らすことで、この例のように敵からの被害を減らすことができるシステムが採用されているのです。

敵からうけるダメージが減衰する戦闘システム

戦闘のかけひき

この戦闘システムのポイントは、「プレイヤーが敵に与えるダメージ」が「戦闘中に変化しない値(プレイヤーの体力)」をベースにしているのに対し、「敵からうけるダメージ」は「戦闘中に減っていく値(敵の耐久力=敵のHPの残量)」をベースにしている、という非対称性にあります。

攻撃力と回避力にあまり差がない敵との戦闘での、プレイヤーと敵の物理攻撃の特徴をまとめると、下記の表のようになります。

プレイヤーの攻撃敵の攻撃
ヒット率 約20% 約30%
ダメージ量体力の 平方根 ± 5 HP の 約20% ± 4

つまり、自分と同程度の敵を相手にする場合、敵の攻撃のほうが少しだけ当たりやすいけれども、その代わりに、プレイヤーは敵にダメージを与えて敵のHPを削るたびに、敵からうける1発のダメージの量を減らすことができる(プレイヤーの与えるダメージは不変)、という形でバランスをとった興味深いシステムが採用されているのです。

このような仕組みになっているので、戦闘の前半で攻撃を当てて敵の HP をはやめに減らすことができれば、それ以降は敵からうけるダメージが減るので、プレイヤー側はかなり有利になります。たとえ強敵であっても運よく最初に数回攻撃が当たって HP を減らすことができれば勝てる可能性もでてくるわけです。

これとは逆に、攻撃を当てられなかった場合には、かなり大きなダメージを継続してうけることになります。そのような場合には、被害がおおきくなる前に、はやめに戦闘から逃げたほうがいい、ということになります。

攻撃の命中率が 20% ~ 30% 程度という状況の中で、どのタイミングで攻撃が当たるかによって有利・不利が変わるという戦闘システムになっているわけですね。

この仕組みが理解できると、戦闘を続けるか逃げるかの「かけひき」を楽しむことができます。もちろん、運悪く「逃げる」を選択しても失敗して逃げられない状況が続いてやられてしまうこともあるので、最も初期の段階では理不尽にゲームオーバーになる状況もよく発生します。ですが、プレイヤーの体力が250を超えたあたりからは、この仕組みを良く理解してうまく行動を選択できれば、生き残れる可能性を高めることができます。

そうやって戦闘を続けて金貨をためて、街の各施設で「体力」や「攻撃力」や「回避力」の値を限界まで上昇させると、「道」で出会う敵は簡単に倒せるようになります。また、「野原」や「森」や「山」で出会う敵なども、一部のボス級の強敵をのぞけば比較的簡単に倒せるほどに成長します。

それ以降は、強敵に出会ったときや自分の耐久力が減っているときに「隠れる」や「逃げる」をうまく使って戦闘を回避することで、世界中をかなり自由に探索できるようになります。

この文書の導入部分でも記述しましたが、序盤を乗り越えれば、探索中心のかなり遊びやすいゲームへと変化するわけですね。その一方で、迷宮ではボス級の敵が宝などを守っていて、その中には1撃で50ダメージくらい与えてくる強敵もいます。個人的には、このあたりはとても良いバランスになっているように思いました。

別バージョンの可能性について

敵から受けるダメージの計算方法について、上では「PCマガジン」に掲載されたプログラムリストにもとづいて解説をしました。ですが、実際のPC88版はこれよりも大きなダメージを敵から受けている印象があります。プレイ動画などを見てもその印象はかなり強いです。乱数がからむので、もしかしたら気のせいかもしれませんが、気になったので少し調査をしてみました。

かなり無茶な方法で調査をしたので詳細は説明できないのですが、調べてみた結果、敵からのダメージの計算で用いている「耐久力の 20% 」という値について、「 10% にしようとした形跡はあるけれどもプログラム上のミスで実際には 30% になっていた」ものが存在していた可能性があるようです。つまり、30% 版と 20% 版があって、開発中には 10% にすることも考えていた可能性があるということです。

私の単なる思いちがいや調査ミスの可能性もゼロではありませんが、もしこれが仮に事実だったとして、もともと 30% だったものをPCマガジンに掲載する際に 20% に修正したのか、当初から複数のバージョンが発売されていたのか、意図的だったのかバグだったのか、あるいは対応機種による違いがあったのか、そのあたりの事情は自分にはよくわかりませんでした。

ただ、初代「夢幻の心臓」を評価する人の中には、序盤のきつさを指摘する人と指摘しない人がいるので、もしかしたら、その理由がこのあたりにあるのかもしれません。

これについてはプロのライターさんや研究者のひとたちによる解明を期待したいところですね。

※ちなみに、Project EGG のPC88版夢幻の心臓では「耐久力の30%」が使われていることが確認できました。(詳細


装備品の消耗について

夢幻の心臓では、武器や防具や道具が「壊れる」という仕組みが導入されています。

一部ではランダムに壊れるとか確率で壊れるとか言っている人もいるようですが、プログラムを確認したところ、武器、鎧、盾、にそれぞれ耐久値に相当する値が設定されていて、壊れるまでの回数がきちんと管理されていました。

プレイヤーの所持している全ての装備品には耐久値が設定されていて、装備している「武器」の耐久値は、「プレイヤーの攻撃」がヒットしたときに 1 減少します。「盾」と「鎧」については「敵の攻撃」がヒットしたときにアイテムの順番で先のほうの耐久値が 1 減少します。そして、ゼロになったら壊れるという仕組みになっています。なお、攻撃などがミスしたときには装備品の耐久値は減りません。このあたりは、きちんと理にかなった仕組みになっています。

この耐久値の初期値は、装備品の種類ごとに異なっています。例えば武器の耐久値については、「鎌」が 100 、「槍」や「こん棒」が 200 、「斧」が 300、「剣」などは 500 に設定されています。防具の耐久値については、「木の盾」が 200、「革のベスト」や「くさりかたびら」が 300、「盾」や「鉄の鎧」などは 400 となっています。

そして、特殊な装備品(「竜の剣」「聖なる剣」「勇者の鎧」「光の盾」など)の耐久値は 1000 に設定されています。これらは 、けっこう長く使える装備品だと考えていいだろうと思います。

ただし、装備の耐久値は画面には表示されないので、各装備があとどのくらいで壊れるのかを確認する方法はありません。この点は少し残念なのですが、上に書いた初期値を参考にすれば、ある程度の予測はできるかと思います。装備品を複数ひろったときなどには、壊れない程度に戦闘で使用してから交易所で売り払うと、効率よく装備品を活用できるのではないかと思います。

道具にも同様に耐久値のようなものが設定されていて、例えば周辺のマップを表示する「水晶玉」は 5 、迷宮内を明るくする「ランタン」は 100 となっています。ちなみに、ランタンは「油」を消費して使いますが、ランタン自体にも耐久値があってゼロになると壊れます。 なお、「傷薬」や「解毒剤」や「松明」などは、耐久値が 1 に設定された消耗品になっています。

戦闘中に装備が消耗して壊れるシステムは、続編の「夢幻の心臓II」では不採用となりました。ですが、このシステムは、今でも他の様々なRPGで採用されることがある仕組みと言えるでしょう。


個性的な敵

夢幻の心臓の戦闘では、プレイヤーは道具や魔法を使うことができます。そして、敵となる相手もプレイヤーとほぼ同種類の魔法が使えるシステムになっています。

また、プレイヤー側と同様に、敵側にも知性や器用さ、攻撃力や回避力などが個別に設定されています。さらに、使える魔法や魔力、毒つきの物理攻撃を使うかどうか、どのアイテムをドロップするか、どのくらいの逃走率があるか、あるいはマップチップごとの出現率なども、敵ごとに個別に設定されていました。

それだけではなく、敵には人間、人型の亜人、妖怪、などのタイプがあって、その種類によって、会話できるかどうか、消滅の呪文が効くかどうか、なども決められています。

これらの設定によって、様々な特徴をもった敵を登場させていました。一部をピックアップして紹介してみましょう。

初代「夢幻の心臓」は、敵のバリエーションもかなり豊富なRPGだったといえると思います。


魔法のシステム

初代「夢幻の心臓」には様々な種類の魔法が登場しますが、それぞれにとても雰囲気の良い呪文の名前が使われている点も特徴のひとつです。

例えば攻撃魔法の「炎よ我がつるぎとなれ」「いかずちよ我が敵を滅ぼせ」や、耐久力を回復・上昇させる「我が力よみがえれ」、迷宮を明るくする「月の光よ賢者の杖となれ」、解毒魔法の「毒素よ無害なる血となれ」、周辺のマップを表示する「全ての物よ我がたなごころへ」、妖怪系や悪魔系の敵を消滅させる「邪悪なるもの消えよ」、攻撃力や回避力を上昇させる「いにしえの戦士の魂やどれ」「精霊よ我が盾となれ」、敵を弱くする「我が敵の剣さびよ」「我が敵の足よなまりになれ」」など、種類が豊富なだけでなく、呪文の表現もとても魅力的です。

魔法の習得

魔法は魔術師の館でお金を払って習得します。ただし、欲しい魔法を選んで購入することはできません。プレイヤーは魔術師へと金額を提示することしかできず、魔術師がその金額以下で購入可能な呪文をひとつ選んで教えてくれる、という形式になっています。

基本的には、よく使う有用な呪文から順番に教えてくれますし、提示した金額が少なすぎて魔法が購入できない場合には、お金を取られることはありません。このあたりは親切設計になっています。しかし、実際の値段よりも高い金額を提示した場合には、魔法は習得できるものの、余分な金貨をとられてしまいます。損をする覚悟をして魔術師との交渉を楽しむ遊びになっているわけですね。

もちろん、本来の遊び方ではないかもしれませんが、損をせずに効率よく魔法を習得していく方法もあります。金額の提示は何度でもおこなえて、それで魔法が習得できなければ損もしないわけですから、提示する金額を 1 ずつ増やしながら、魔術師の反応を見ていけば、損することなしに値段の安い魔法から順番に習得していくことができます。

そうは言っても 1 ずつ増やして試すのは面倒だと感じる人もいると思うので、ここでひとつ攻略情報を紹介しておきます。実は魔法の金額は 25 の倍数になっています。ですから、最初に 25 枚の金貨を提示することを繰り返して、呪文が習得できなくなったら、 50 枚の金貨を提示することを繰り返す、というように、25 枚の単位で示す金額をふやしていくと、無駄なく魔法を習得していけると思います。

魔法は14種類ありますが、個人的には値段の低いほうから習得して「いにしえの戦士の魂やどれ」あたりまで習得できれば、ゲームはクリア可能だと思います。

魔力の上昇

呪文は魔力を消費して唱えます。魔力がないと呪文は使えないのですが、夢幻の心臓では、その魔力を増やす方法が3種類用意されています。

ひとつめは、魔術師の館で購入する方法です。この方法では、金貨 10 枚で魔力を 1 だけ増やすことができます。

ふたつめは、地上のイベントで入手する方法です。地上には「楽園の泉」という場所があり、この泉の水を飲むと、耐久力を消費して魔力を得ることができました。泉の水が飲める条件は、現在の魔力が99未満のときで、得られる魔力はプレイヤーの知性の値と同じです。ただし、得られた魔力の値のぶんだけ耐久力にダメージをうけます。ですから、プレイヤーの耐久力が知性の値よりも少なかった場合には死んでゲームオーバーになってしまうので注意が必要です。

みっつめは、あるアイテムを入手して「チェンジ」によって経験値を魔力へと変換する方法です。ゲームの終盤では経験値の使い道が他になくなるので、魔力の資源として使っていくことになります。

つまり、初代「夢幻の心臓」では、財力や耐久力や経験値を消費して魔力を増やすという独特なシステムが採用されているわけですね。

強化魔法の仕組み

自分を強化する系統の魔法の仕組みもおもしろくて、単に戦闘中に強化ができるだけでなく、フィールド上で呪文を唱えてあらかじめ能力を強化しておくことができました。しかも、繰り返し呪文をとなえることで重ねがけができ、能力の上限を超えて強化をすることも可能になっています。

強化した能力は、1日経過するごとに半減します。迷宮では24回行動すると1日経過する仕組みになっているので、1日が経過した直後にあらかじめ攻撃力などを上昇させておけば、その状態を比較的長く保つことができます。固定遭遇するボスの位置がわかっていれば、事前に能力を強化したうえで戦いにのぞむこともできたりするわけですね。

それから、耐久力を回復・上昇させる「我が力よみがえれ」の呪文についてですが、耐久力を5しか上昇できないので、戦闘中はほとんど役にたちません。役に立たない代表的な呪文のように言われることもありますが、実はけっこう便利な呪文でもあります。

他の強化系の魔法と同様に、この呪文もフィールド上で使用ができ、しかも最大値を超えての強化が可能です。また、呪文を使うコマンドは敵と遭遇せずに実行できます。

呪文を繰り返しとなえる操作はかなり面倒です。メニューを開いて、魔法を使うという行動を選択をして、一覧から「我が力よみがえれ」を選択する、という3つの作業を繰り返す必要があります。ただし、ショートカットキーが使えるので、実際には、フィールド上でキーを順番に3つ押すだけで、敵と遭遇することなしに、魔力を2消費して耐久力を5回復できます。

ですから、操作はそれなりに面倒ではありますが、戦闘中でなければいつでもどこでも魔力を消費することでリスクなしに耐久力を最大値まで回復(あるいは最大値を超えて上昇)させることができます。そう考えるとけっこう便利な呪文なんですよね。

下図の左は魔法を選択するときのメニューを引用したものです。長い名前についてはメニューに表示しきれない後半部分が切れてしまっていますが、魅力的な呪文の表現が使われていたことが確認できると思います。

魅力的な魔法名と限界を超える能力上昇の魔法の効果

右の画像は「我が力よみがえれ」を使った後でプレイヤーのステータスを表示した画面からの引用です。「体力」が 1000 であるのに対し、「耐久力」が 1010 になっていることが確認できます。本来であれば「耐久力」の最大値は「体力」と同じ値になるはずですが、その上限を超えています。このように、能力上昇の魔法を使うと、一時的にですが限界を超えてパラメータを強化できる仕組みが採用されているのです。


記録と再開のシステム

初代「夢幻の心臓」では、フィールド上なら地上でも迷宮の中であっても、メニューから「記録」を選ぶことで、いつでも途中経過の状況をセーブできます。ただし、セーブスロットは1ユーザにつきひとつだけで、10ユーザまで登録できる形式でした。

ロードはゲーム起動時などのタイトル画面表示後におこなえます。もちろんセーブした場所からの再開が可能です。

PC88版ではセーブをするとタイトル画面に戻されるのですが、この画面の描画にけっこう時間がかかるため、あまり気軽にセーブできないのは残念なところです。ですが、セーブポイントでしかセーブできないゲームも多いなかで、この時代に「いつでもどこでもセーブできる」という仕組みを実現していたのです。

このとても便利なセーブ機能なのですが、ゲームオーバーになるとセーブデータが削除されるという厳しいシステムにもなっていました。死んだときに「不死のネックレス」を所持していればゲームオーバーになっても復活することができるのですが、それには金貨を500枚ためて購入しておく必要があります。このあたりは当時のパソコンゲームの難易度を踏襲していたところでしょう。

ですが、もちろん、この厳しいシステムにも回避する手段はありました。

当時にパソコンでゲームをしていたプレイヤーなら当然知っていることだと思いますが、フロッピーディスクにはプロテクトシールという物理的に書き込みを禁止する仕組みがありました。ディスクの右上に少しくぼんだ場所があり、ここを専用のシールでふさぐことで、ソフトウエアがディスクを書き換えようとしてもそれを防ぐことができたのです。

ですから、基本的にはプロテクトシールを貼って書き込み禁止にしておき、セーブをするときにだけそのシールを外すということをしていれば、手間はかなりかかりますがセーブデータが消滅するのをふせぐことができたのです。

左下の画像は、フロッピーディスクの一部を拡大したものです。くぼんだ部分がありますが、ここにプロテクトシールを貼ると書き込みを禁止でき、この機能を使えばセーブデータの消滅を防ぐことができます。右下の画像は、迷宮の中で「記録」を選択したときの画面からの引用です。残りの日数が表示されていますが、セーブが完了するとこのメッセージが表示されます。もちろん次回のゲーム起動時には迷宮内のセーブしたところからゲームが再開されます。

ディスクの書き込み禁止機能と迷宮内でも可能なセーブ機能

プロテクトシールを活用する前提であれば、いつでもどこでもセーブができて、やられてもセーブした地点から復活できる、という「便利なセーブ機能」でもあったわけですね。

ちなみに「死んだらセーブデータを消去する」という仕組みは、その後どんどん使われなくなっていきます。これにはもちろん厳しいシステムだからという理由もあるとは思いますが、それだけではなく、「プロテクトシール1枚で簡単に回避できてしまう」ということも理由のひとつだったのだろうと思います。


復活の仕組み

夢幻の心臓では、耐久力が0以下になったり日数が30000日に達した場合にゲームオーバーになります。ですが、上でも書きましたが、「不死のネックレス」を所持していれば、それまでのステータスなどが保持された状態で、復活できる仕組みになっていました。

この復活のアイテムは、交易所で金貨 500 枚を支払って購入することができます。持ち物に余裕があるかぎり何回でも購入可能です。

これは、「ハイドライド」(T&E,1984)や「ザナドゥ」(日本ファルコム,1985)などにも存在していた復活のアイテムである「復活の薬」「エリクサー」に近い仕組みと考えていいと思います。

ただし、上記のゲームなどとは違い、その場ですぐに復活する形にはなっていません。ゲームオーバーになったときに「不死のネックレス」を持っていた場合には、それが消費され、再開が可能なセーブデータが作られたうえでタイトル画面へともどる仕組みになっていました。

具体的には、耐久力が 50 以下だった場合には 50 まで回復し、経過している日数が 20000 日をこえていた場合には、日数が 20000 日に再設定され、迷宮の中にいる場合は外に出た状態で、再開が可能なセーブデータが作成されます。

ですから、そのセーブデータでゲームを再開すると、戦闘で負けた場合には耐久力が 50 だけ残った状態で、30000日を経過した場合には10000日の猶予が与えられた状態で、地上での復活ができる仕組みになっています。

耐久力が完全回復するわけではないので、安全な場所へ移動しての回復ができるまでは危機が続きますが、死んでも復活する仕組みが採用されていたわけですね。

ただし、このような仕組みになっているので、上述した「プロテクトシールでディスクへの書き込みを禁止をする方法」をとっていると、「不死のネックレス」を有効活用できません。プロテクトシールの使いどころはよく考える必要があるでしょう。

ちなみに、ゲームの目的である「夢幻の心臓」を手に入れると、エンディングがはじまる直前に「ゲームをクリアした」という情報がセーブデータに書き込まれます。そして、一度クリアした後でそのセーブデータを使ってゲームを再開すると、ゲーム本編にはもどらずにエンディングだけが流れます。クリアすると途中からゲーム本編を再開できなくなるのは、少しさびしいところですね。

だからといって、夢幻の心臓を手に入れるタイミングでディスクにプロテクトシールをはっていると、セーブデータを更新できずにエラーが発生して、エンディングを見ることができなくなるので注意が必要です。


付属品による世界観の表現

当時のPCゲームは、パッケージに様々な付属品をつけることで、ゲーム本編では表現しきれない要素を補完していました。

これはウルティマシリーズなどで使われていた伝統的な手法ですが、初代「夢幻の心臓」も付属品による解説はかなり充実していました。

「夢幻の心臓」には、遊び方を説明した「リファレンスマニュアル」と「リファレンスカード」の他に、呪文や特殊なアイテム、街の施設などを紹介した15ページにもおよぶ「魔導の書」と、古き塔の中で発見された記録の抜粋という形で世界観を解説した「夢幻界創世記」が付属していました。

どちらも文章が中心でイラストなどはほとんどないのですが、「魔導の書」の方にはゲームの中で登場する様々な要素について、数行をかけて世界観にそった雰囲気たっぷりの文章で役に立つ情報がくわしく解説されていました。 ラストダンジョンに入るためのヒントも、この書物の中に記されています。

一方、「夢幻界創世記」には、ゲームの本編とは直接的には関係しないのですが、この世界の歴史が解説されていました。15の世界とそれをつらぬく神聖剣、そこに発生した全面戦争と混乱の中で現在の形になった夢幻界の成り立ち。2ページだけの短い内容ですが、これを読むとゲームの背景にとても興味深い独特な世界の設定が存在していることがわかります。

ちなみに、リファレンスマニュアルには「この世に甦ること」がゲームの目的だという趣旨のことは書かれていますが、実は「夢幻の心臓」については何も書かれていません。付属品の中では、ゲームのタイトルとして書かれている部分をのぞくと唯一、夢幻界の秘密をいくつか解き明かした破戒僧の遺書でもある「夢幻界創世記」の最後に記された言葉として書かれています。説明書でのゲームの目的の示し方として、なかなか洒落た演出になっていると思います(パッケージの裏面や雑誌の広告などには夢幻の心臓を手に入れることが目的だと推測できる文章が普通に掲載されていましたが)

文章中心でイラストがないのは少し残念ですが、「夢幻の心臓」は付属品による雰囲気づくりも素晴らしいゲームだったのです。


ウルティマとウィザードリィとの関係について

夢幻の心臓は「2Dで表現されたマップ上での移動システム」と「敵と正面で対峙するコマンド選択式の戦闘システム」を組み合わせたものになっています。

その意味では、「ウルティマ」シリーズの移動システムの特徴と、「ウィザードリィ」シリーズの戦闘システムの特徴の、2つの要素を組み合わせた構造のゲームになっていると言えます。

ですが、これまで説明してきたように、初代「夢幻の心臓」は、ウルティマの移動システムとは異なり、街は「大きな画像が表示されるメニュー形式」になっていて、地上マップでは「斜め方向への移動」ができ、道にそった「移動の方向によって短いループと長いループがおきる工夫」も導入されています。

また、戦闘システムもウィザードリィとはゲーム性が異なっていて、「20~30%のヒット率の中で攻撃が当たるタイミングによって有利不利が変わる駆け引きの要素」を持つものになっています。

世の中には「夢幻の心臓もウルティマとウィザードリィのパクリだ」などと言う人が一部にいるようですが、初代「夢幻の心臓」は、これらのゲームとは質的にかなり異なる移動と戦闘のシステムが採用されていたと言えると思います。

大枠は確かに2つの要素を組み合わせたものになっていますが、その要素を細かく確認すると、ウルティマやウィザードリィとは異なる独特なものになっているわけですね。


初代「夢幻の心臓」の惜しいところ

このように、斬新で素晴らしいアイデアが数多く採用されている初代「夢幻の心臓」なのですが、とても惜しいと思う部分もいくつかあります。

時代的な背景や、初代PC-8801用という機種の問題もあるとは思うのですが、「動作速度が遅いこと」「序盤がきびしいこと」「演出がさびしいこと」は、残念に感じてしまう要素になっています。

動作速度が遅いことについて

PC88版の初代「夢幻の心臓」は、速度が遅いという点で特に批判をうけるゲームです。画面の描画システムはマシン語で作成されているのですが、ライン・ペイント方式を採用していて高速化の仕組みも十分には活用できていないようなので、どうしても遅く感じてしまいます。

色を塗らない設定にすることで、表示するまでの時間を数秒におさえることはできます。ですが、それでも少し遅い感じはありますし、色がないと映像的な魅力も半減してしまいます。

また、街に入ったときや、街の各施設へと移動するときにも、かなりの時間を待たされます。これは実装上の問題で生じています。夢幻の心臓の街は、施設ごとに別々のBASICのプログラムが用意されていて、それを「BASICのマージ命令」によってメインプログラムと結合する形で実装されています。この命令は「かなり重い処理」なのですが、施設に移動するたびにこの仕組みを利用しているために長時間待たされてしまうのです。

夢幻の心臓の序盤は、ゲームシステムを理解するのにかなりの試行錯誤が必要なのですが、速度が遅いせいでその作業に支障がでてしまう点は、とても残念に思います。

序盤がきびしいことについて

プレイヤーがある程度まで成長してからは、かなり遊びやすいバランスになっているとは思うのですが、やはり序盤の軌道にのるまでの部分はかなり難易度が高いと思います。

序盤は「農民」「木こり」「商人」以外と戦闘をするのはかなりリスクが高いので、これらと遭遇するまで街のそばの「道」の上を移動してエンカウントを繰り返す必要があります。また、ダメージをうけたら「休息」で耐久力を回復しなければなりません。

運良く「商人」と遭遇したり「木こり」が連続して「斧」を落としたりして大金が入手できれば、比較的はやい時期に体力や攻撃力を向上させることができます。そうすれば少しは楽になるのですが、逆に運が悪いと強い敵に連続して遭遇してしまうこともあります。

戦闘システムの解説のところで書いたように、初代「夢幻の心臓」には難易度の異なるいくつかのバージョンが存在していた可能性はあります。ですが、受けるダメージの量以外の部分、例えば戦闘を回避する仕組みなどにはおそらく違いはありません。ですから、仮にやさしいほうのバージョンだったとしても、例えば「逃げる」に連続して失敗した場合などに、理不尽にやられてしまう可能性は残っています。

体力の初期値を 250 くらいにするだけでも、かなり印象は変わると思うので、このあたりはとても惜しいと感じてしまいます。ただ、これは今だから言えることで、歴史的には難易度を検討するために必要な過程のひとつだったのかなとも思えます。

おそらく、初代「夢幻の心臓」のこの序盤の難易度については、メーカーにもいろいろな意見が送られただろうと想像します。続編の「夢幻の心臓II」の序盤は、初代とは逆に「楽にレベルが上がるとても遊びやすい難易度」になっているのですが、もしかしたら、それは初代「夢幻の心臓」がこの難易度だったおかげなのかもしれません。

演出がさびしいことについて

初代PC-8801で鳴らせる音は、基本的には「ビープ音」という「ピーッ」という音だけです。上手く使ったとしても、簡単なメロディを鳴らす程度が限界でした。

当時のゲームの中には、そのような厳しい環境の中でBGMを流したものもありましたが、夢幻の心臓では、BGMは採用されていませんでした。

初代「夢幻の心臓」では、短い時間に繰り返し音を区切って鳴らすことで、「ビビビビビ」とか「ビーーッ」とか「ピッ」とか「カッ」とかいう感じの何種類かの効果音を鳴らすことはできていました。しかし、その後のゲームの演出と比べると、どうしてもさびしい印象をもたざるを得ませんでした。

また、アイテムを入手したときにも、基本的にはメッセージが表示されるだけでした。苦労をして謎を解いたり迷宮を攻略したりして、重要なアイテムを入手しても、メッセージが表示されるだけだと、どうしても感動しずらい面はあります。

ただし、メッセージ自体は例えば「炎の紋章があなたのものになった」「〇〇さんは《聖なる剣》をもつ者となった」のように、けっこう良い感じになっています。ですから、メロディや画像などとともにこのメッセージが表示されていたとしたら、達成感もひとしおだったのではないかなと思います。

時代的な事情もあって難しかったんだろうとは思いますが、このあたりはとても「惜しい」と思ってしまう要素になっています。


当時の雑誌の評価

初代「夢幻の心臓」に対する当時の雑誌の評価は、PC88版とPC98版とで大きな違いがありました。例えば「月刊ログイン」を調べると、PC88版に対して厳しい批判がされているのに対し、PC98版のほうはかなり好意的に評価されていることが確認できます。

月刊ログイン1984年7月号の「SOFTWARE REVIEW」(pp.18~19)では、PC88版が紹介されています。著者は「ルーク(ログイン編集部見習い)」と「ハン・ソロ(ログイン編集部エディター)」の2人。前半ではグラフィックの良さや、名前をつけるだけで乱数要素などもなくキャラクタを設定できるとっつきやすさ、コマンド表示のおかげでゲーム進行が難しくないこと、などの良い点を指摘しています。

しかし、後半はなかり辛辣な表現で批判がされています。プレイヤーに対して親切にしようと努力しているのは事実としながらも実際は不親切だったりするところが案外多いとして、具体的には、死んだら最初から始めなくちゃいけない点や、よく会う農民がシブトいこと、ディスクからのロード回数が多すぎること、マップの表示エリアが狭すぎること、などが指摘されています。

一方、月刊ログイン1985年3月号の「ロールプレイング特別ソフトレビュー2」(pp.104~107)では、PC-9801F版 が紹介されています。導入の部分でPC88版についてこんなにすばらしいロールプレイング・ゲームを、「遅い」という理由で敬遠していたのだと指摘し、本文の冒頭ではPC-8801版の遅さとは、くらべものにならないほど速く動くことに感動したと書かれています。また、広大な世界、3つの塔に4つのダンジョン、7つの紋章を求めて旅する、8つのクエストといった規模の大きさも評価されていました。

このレビューの最後のページは開発元のクリスタルソフトへの取材記事になっているのですが、その冒頭には次のように書かれています。

実を言いますと、この“夢幻の心臓”は、ログイン編集部が、プログラムの解析や、ソフトハウスさんのお助けも一切なしに、一善良なるゲームプレイヤーとして、まともに解いた、初めての大型ロールプレイング・ゲームなのです。

編集部で4人で集まってプレイしていたようですが、クリアしたときに大変な騒ぎになったということも書かれていました。メーカーへの取材記事ではあるので、今でいう「忖度」のようなものがあった可能性もゼロではないかもしれません。ですが、少なくとも、PC98版については、きちんとクリアできるゲームだという主旨を伝える記事が存在していたのです。

自分も、PC88版の詳細を確認してみて、動作速度さえ改善されれば当時のRPGの中ではかなり内容が豊富でヒントも多く、序盤を乗り越えれば遊びやすいゲームだという認識を持ったので、このPC98版の当時の評価は妥当なものだろうと思っています。


今から遊ぶ人へのアドバイス

初代「夢幻の心臓」は、1984年に発売されたとても古いゲームですが、EGGの復刻版などもあって今から初見で遊ぶ人もいるかと思います。そのような人たちへの攻略情報として、ゲームの流れにそった簡単なアドバイスをしたいと思います。


おわりに

ここでは、初代「夢幻の心臓」について、かなり深く掘り下げてゲームシステムや内容を紹介しました。当時のRPGの様々な工夫や斬新なアイデアについて、ぜひ多くの人たちに知っていただけたら嬉しく思います

現在、夢幻の心臓は Project EGG でPC88版をプレイできます。個人的には速度が改善されているとの「うわさ」があるPC98版を遊んでみたいところです。

もし、上で示した少し惜しい点などを改善しつつ、マッピング補助機能などもつけて遊びやすくしたうえで、原作の雰囲気もきちんと残した「完全リメイク版」が発売されたとしたら、ぜひ遊んでみたいところです。なかなか売れないとは思うので、実現されることはあまり期待できないと思いますが。

幸いにもプログラムリストは確認できるので、自分でリメイクの開発に挑戦してみるのも面白いかもしれませんね。


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ドラクエ以前のPCゲーム関連の文章一覧
更新履歴
2024/1/8 文章一覧へのリンクを冒頭に追加。
2023/8/5 当時の雑誌(月刊ログイン)での取り上げられ方に関する記述を追加。内容が充実してきたので、今後充実させる予定という主旨の文章を削除。
2022/6/11 広場を出るときにリターンキーを押す必要があったのでそのことを追記。付属品にヒントなどが書かれていたことを追記。画像内の文字の書き間違いを修正。
2022/4/23 ダメージ計算の補足に関する詳細な解説をしたページへのリンクを追加。
2022/4/20 付属品の話題について、雰囲気づくりに関する説明を追加。ProjectEGGのPC88版のダメージ計算が30%版であることを明記。その他、細かい表現の修正など。
2022/4/17 付属品による世界観の表現の話を追加。
2022/3/21 会話の種類の選び方に関するコメントを追加。敵からのダメージの計算方法の表現などを一部修正。
2022/2/25 文章の一部を赤字で強調。プレイヤーが与えるダメージの説明を編集して平方根の解説を追加。
2022/2/13 目次を経緯の話の上へと移動。グラフィックの話にキャラクタグラフィックを使った事例を補足として追加。
2022/2/3 不死のネックレスをペンダントと書き間違えていたので修正。ネックレスで復活するときの仕組みの解説を追加。その他、細かい表現の修正など。
2022/1/29 ウルティマとウィザードリィとの関係に関する文章を追加。今から遊ぶ人へ向けてのアドバイスを追加。
2021/12/21 拡大マップのリンク先を画像ではなくページに変更、イベントの話題に迷宮でのイベントが消滅する場合の対処方法の文章を追記
2021/12/15 導入部分を読みやすくするために、経緯の話を章立てにして分離。地上マップについて、わかりやすさを重視して画像のループ部分の矢印の向きを修正し、説明も上下左右を基本とした文章へと修正した。その他表現などの細かい修正。
2021/12/9 迷宮内の視界の仕組みに関する解説を追加。誤字の修正など。
2021/12/4 装備品の消耗に関する解説を追加。序盤がきびしいことについての文章を追加。敵からのダメージの計算の解説について、耐久力と体力の区別がつきにくかったので、耐久力のほうをHPと記述する形に変更。誤字の修正など。
2021/11/29 成長システムについての解説を追加。誤字の修正など。
2021/11/23 目次の追加。セーブ機能と街の施設に関する画像を追加。表現や誤字などを一部修正。
2021/11/21 初代「夢幻の心臓」を紹介する文章を作成して公開。