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プレステ以前のパソコン3Dゲーム

はじめに

ゲームの歴史の話をしていると、プレイステーションの3D機能を強調したいがために、 それ以前に3Dを使ったゲームがアーケードのバーチャファイターくらいしかなかったかのように言う人がいます。しかし、それ以前にもワイヤーフレームを使った3Dゲームはもちろんありましたし、それだけでなく、ポリゴンのような塗りつぶした平面で立体物を表現したゲームもかなり初期のころから存在していました。1990年代はじめに海外で3Dゲームが注目されていたのは有名ですが、それより前にも、日本の国産パソコン向けにいろいろな3Dゲームが発売されていました。

このページでは自分が思いつく範囲で、有名なパソコン3Dゲームを調べてまとめてみました。3Dゲームの歴史を語る際の調査の参考にしていただければ幸いです。

1980年代(日本)

国産のパソコンゲームでは、1980年代はじめにワイヤーフレームやラインペイント方式で3Dの映像を描いたゲームが登場していました。

スターフリート/B(テクノソフト,1982)
シミュレーションゲームのスタートレックを3Dアクションゲームにしたもの。宇宙ステーションや星や敵機がワイヤーフレームで表現されていた。
オリオン(アスキー,1982)
高速に動く3Dシューティングゲーム。四角形を組み合わせて作られた敵をなめらかに拡大縮小させることで宇宙空間を表現していた。PC-6001用。後にオリオン80という名前でPC-8001用にも移植されている。
3Dゴルフシミュレーション(T&Eソフト,1983.2)
座標を3Dで計算してコースを表現したゴルフゲーム。ラインペイント方式で時間をかけて静止画像を描画していた。
ジェルダ(キャリーラボ,1983.12)
3Dアクションシューティング。ゼビウスのような世界をワイヤーフレームでリアルタイムに描画していた。
四次元少女リディア(チャンピオンソフト,1984.2)
基本的には普通のラインペイント方式で画面を描いた物語主体のコマンド入力式SFAVG。ただし、一部に赤青メガネを使って3D立体視で見ることができるシーンが含まれていた。赤青メガネを付属してアナグリフ方式で立体視を実現した市販ゲームとしてはかなり初期の作品。

その後、ワイヤーフレームではなく塗りつぶした平面を使って立体物を表現するゲームが登場してきます。ただし、この時期はまだフィールドについては宇宙空間など壁などがほとんどないものでした。

プラズマライン(テクノソフト,1984.12)
宇宙を舞台にしたレースゲーム。隕石や障害物や宇宙ステーションなどが光源処理もほどこされた3Dの立体で描かれていた。
ZONE(システムサコム,1985)
一人称視点で簡易な敵や障害物が存在するフィールドを全方向へ移動できる3Dアクションゲーム。PC9801シリーズ専用で、マークフリント氏が作成したことでも有名。

1980年代の中盤以降、自機や敵機などの表現だけでなく、迷路状のフィールドの表現にも3Dが利用されるようになります。

シーナ(システムソフト,1986.2)
3D迷路探索アクションゲーム。立方体で構成された3D迷路を高速に走り回ることができた。その速度はレースゲームなどと比べても全く遜色がないレベルで、当時、非常に話題になっていた。
カーマイン(マイクロキャビン,1986.2?)
SFアドベンチャーゲーム。マス目単位で90度回転をする擬似3D迷路を採用したゲームだが、移動や回転の途中の様子がなめらかに動くアニメーションで表現されていた。PC-98用で発売された後、画面サイズを小さくしてPC88などにも移植されている。
ウィバーン(アルシスソフトウエア,1986.8)
SFRPG。建物の内部がなめらかに移動できる3Dで表現され、アイテムなどの形状もその空間内で表現されていた。ゲームの歴史を扱う海外のWebサイトなどでは、初期に3D表現を採用したRPGとしてよく取り上げられている。
アムノーク(アスキー,1986.11)
ポリゴンの世界で機体を操ってボールをぶつけあう3Dゲーム。FM77AV専用で、かなり高速でカラフルなフィールドを動き回ることができた。
シルフィード(ゲームアーツ,1987.3)
ななめ見下ろし形の画面を使ったシューティングゲーム。自機や敵機、要塞内の障害物などが3Dポリゴン風に表現されていた。
コムサイト(テクノソフト,1987.8)
行動をプログラミングしてタンク同士を戦わせる対戦シミュレーションゲーム。作成したプログラムをやりとりして他人と対戦することも可能で、タンクの挙動が3Dポリゴンによるアニメーションで表現されていた。
スタークルーザー(アルシスソフトウエア,1988.5)
SFアクションアドベンチャー。宇宙ステーションや惑星、地上の建物や木なども含め、フィールドのほとんど全てが3Dポリゴンで表現されていた。

1990年代初頭

1990年代に入ると、海外で本格的にポリゴンを利用した有名なパソコンゲームが次々に発売されはじめます。

4Dスポーツテニス、4Dスポーツドライビング(DSI,1990)
3Dポリゴンで表現されたテニスゲームやドライブゲーム。
4Dスポーツボクシング(DSI,1991.6)
3Dポリゴンで表現された人物が格闘するボクシングゲーム。バーチャファイター(1993)の2年前に発売されている。
ウルティマ アンダーワールド(ORIGN,1992)
ダンジョンをなめらかに移動可能な3Dで表現。壁などがテクスチャで表現されていた。モンスターは2Dのビルボードで表現。
ウルフェンシュタイン3D(id software、1992)
FPSの初期のヒット作。DOOMの前身として知られている。
アローン・イン・ザ・ダーク(Infogamers,1992)
3Dアクションアドベンチャー。主人公や敵のモンスター、建物やアイテムなどが全てポリゴンで表現されている。

日本では、少し遅れて上述の3Dゲームが次々に国内パソコンに移植され、大きな話題となりました。もちろん、これまでの歴史の流れにそって、継続的に国産独自の3Dゲームも発売されていました。

4Dボクシング, ウルティマアンダーワールド, アローン・イン・ザ・ダーク(PC98版,1993)
国産PCへの移植版
ちなみに、雑誌のログイン1993年1月号(No.1,2)には4DボクシングのPC98用体験版がついていて、日本のPCゲーマーはゲームセンターでバーチャファイター(1993の年末に稼働)が話題になる前に3D格闘技ゲームを体験済みだった。
ソリッドランサー(システムソフト,1993)
3Dポリゴンを使ったSFシューティングゲーム。
ハムレット(パンサーソフトウエア,1993)
SFRPG。フィールドの表現に3D表現が使われていた。ロボットなどは2Dで表示されている。
スタークルーザーII(アルシスソフトウエア,1993)
スタークルーザーの続編。フィールドの表示領域が広くなりポリゴンの表現も多彩になった。
ウルフェンシュタイン3D(PC98版,1994)
国産PCへの移植版
メガトンアームズ(システムソフト,1994.10)
3Dポリゴンを使ったロボット対戦格闘ゲーム。ヴァーチャロン(1995)の1年前に発売されている。

パソコンゲームの世界で、このような3Dを使ったゲームが発売され人気を博していた1994年の12月に、プレイステーションは発売されているのです。プレステのハードウエアのサポートにより3Dゲームが作りやすくなったというのは事実なのかもしれませんが、それまで3Dゲームが存在していなかったかのように語るのは適切ではないと思います。ハードウエアの限界に技術で挑戦していたパソコン3Dゲームがあったことも、ぜひ思い返していただければと思います。


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2017/12/7 プレステ発売前のパソコン3Dゲームについてまとめた文章を作成。公開。